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おもしろ話

世界で一番丸い物体をご存知ですか?

一見、大きなパチンコ玉にしか見えないこの金属の球体。この球体は、実は史上最も丸い物体なんです。シリコン同位体単結晶(シリコン28)と呼ばれる非常に高価な物質でできている直径約94mmの球体です。

仮に、この金属球を地球サイズ(直径12,742km )まで拡大すると、最も高い山と最も低い谷の高低差はわずか3m~4.5m(10フィートから15フィート)です。科学者たちが真球に挑戦し始めた当初は15m前後ありましたが、技術の進歩によりすこしづつ凸凹を減らしていったのです。ただし、この挑戦は非常にお金がかかります。球自体が貴重なものとして紹介されますが、シリコン結晶だけで1億円以上のコストがかかります。そして真球になったものは3億6千万円以上ものコストがかかります。

それにしても何故これほどの費用をかけてまで真球をつくるのでしょうか?その目的は「計測」において長い間議論されている「キログラムの定義」を解決するためでした。1799年、1キログラムとは4℃での1リットルの水の質量として定義されました。その後改定され、1870年代に作られた直径・高さが39mmの合金の円柱(国際キログラム原器)の質量が1キログラムと定義されていました。

Avogadro Sphere

Laurentiu Braicさんの投稿 2018年4月13日金曜日

 

しかし、この定義には問題がありました。科学者たちは、この円柱の重量がわずかに変化し続けていることを発見したのです。さらに悪いことに、異なる環境に保管されていたこの円柱のレプリカ40個を比較しても、重量はそれぞれ微妙に異なっていたのです。つまり、キログラムは普遍的な値ではなく、変化し続ける物理的な物体を基準にしていたのです。

そのため、「プランク定数」という世界中どこでも変わらず、時間とともに変化しない物理定数に基づく定義へと移行する方針が2011年に国際的に合意されました。その後、産業技術総合研究所および複数の海外研究機関により超高精度にプランク定数の値が決定され、これを用いた「キログラム」の新定義が2018年の第26回国際度量衡総会において採択されたたのです。そのプランク定数の測定の過程でこの真球が作られたのです。

精密光学センターの研究者と協力して、このほぼ完璧なシリコン28の球体を作り出しました。コンピュータ誘導型レーザーでわずかなズレをスキャンし、マスターレンズメーカーが何百時間もかけて真球に近づけました。この球体は直径93.6mm、真円度のデルタが50ナノメートル以下であり、地球上で最も丸い物体として広く認識されています。