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絶滅寸前 作り手がいない希少なパスタ「神の糸」

イタリアのサルデーニャ島にある小さな町ヌオロには、世界で最も希少なパスタとも言われ、一握りの限られた人しか作ることができない手打ちパスタがあります。

この伝統的なパスタは、サルデーニャ島の方言で「スー・フィリンデウ(su filindeu)」またはイタリア語で「フィリ・ディ・ディオ(Fili di Dio)」と言われ「神の糸」とも訳される翻訳されたこの伝統的なパスタは、毎年5月に祝われる伝統的な宗教儀式「La Festa di SanFrancesco」に結びついていました。過去200年間、この「神の糸」を食べるには、ヌオロからルーラ村まで徒歩か馬に乗って33kmの巡礼をしなければなりませんでした。今では、この神聖な料理は絶滅の危機に瀕しており、作り方を知っているわずか3人の女性のみです。彼女たちはこの料理をもっと身近なものにすることで、この料理を救おうとしています。

67歳になるパオラ・アブレニさんは、母親から「神の糸」の技術を習得しました。母はその母から技術を学んできました。 パオラさんには2人の娘がいます。そのうち「神の糸」の基本的な技術を知っているのは一人。しかも、伝統を引き継ぐために必要な情熱と忍耐力が十分とは言い難いそうです。 パオラさんは姪と義理の妹の二人に技術を伝授しました。しかし彼女たちには、伝統を引き継ぐ娘がいません。スー・フィリンデウは今、絶滅するする重大な危険にさらされています。

近年、パオラさんは「神の糸」を守るため、地元の役所に行き、スー・フィリンデウ職人になりたい女の子のための学校を設立してほしいと頼みに行きました。しかし財政難の為難色を示されてしまいました。それならばと、彼女は家に女の子を招いて教えることにしましたが、それもうまくいきませんでした。神の糸を作るのはそんなに簡単なことではないのです。

「それはうまくいきませんでした。」とアパオラさんは2015年にBBCに語っています。「問題は、私が「神の糸」を実演して見せたら、生徒たちは「面倒くさい」と言ってこなくなってしまったことです。」

しかし、彼女は諦めません。料理とワインの雑誌「ガンベロ・ロッソ」からローマに招かれ、スー・フィリンデウ作りの腕前を披露することになったのです。彼女はこの珍しいパスタを絶やさないために、ローマのいくつかのレストランのために「神の糸」作りを作り始めたのです。

「神の糸」はそんなに作るのが難しいのでしょうか?材料はセモリナ粉、水、塩の3つの材料で他のパスタと同じです。しかし、非常に手間のかかる工程をすべて手作業で行わなければなりません。材料を混ぜ合わせた後、生地を長時間練って柔軟性が出てきたら、いよいよ伸ばし始めます。パオラさんは生地を8本の細長い糸に巻き、折りたたんで半分に切り、また伸ばしていきます。これを32回繰り返し、256本の極細パスタができあがります。どれだけ細いかというと、よく知られている「エンジェルヘアパスタ」の半分くらいの細さです。

 

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その後、丸くて平らな「フンドゥ」と呼ばれるトレーの上に3層に重ねて伸ばし、数時間天日干しして乾燥させます。パスタの層がくっつくことで、布のようなデザインになります。この「布」をほぐして料理に使うのです。

 

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作り方は簡単で分かりやすいのですが、それを正しく実践することは一般の人はもちろんベテランの料理人でさえも敬遠してしまいます。

2015年には、世界的に有名なパスタブランド「バリラ」の技術者チームが機械で再現する方法を模索し、彼女を訪問しましたがどうやら失敗したようです。その後、シェフのスーパースターであるジェイミー・オリバーも彼女を訪れ、その技術を学ぼうとしましたが2時間の試行の末に断念したそうです。これらは最も注目すべき例に過ぎず、他にも何百人もの人が挑戦しては失敗しているといいます。

世界で最も絶滅の危機に瀕している料理の伝統を分類し、保存することを目的としたスローフード・インターナショナルの「Ark of Taste」というプロジェクトによると、約4,000点のリストの中で、スー・フィリンデウは世界で最も希少であり、最も絶滅の危機に瀕しているパスタに分類されていると言います