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おもしろ話

垂直のダムの絶壁をヤギが登る 軽々と動き回る様子がスゴイ!

アルプスアイベックスは、ヨーロッパアルプスの標高の高い山岳地帯に生息する大型の山羊のような草食動物です。鋭い蹄を持ち、俊敏な動きで急な崖を登ることで肉食動物から身を守っています。彼らの持つ垂直に近い断崖絶壁を登る能力によって世界的に有名になりました。

イタリアのピエモンテ州にあるチンギーノダムは、ヨーロッパにある数多くの石積みダムの一つです。数年前にネット上で、アイベックスが垂直のダムの絶壁を登る写真が話題になり、観光客の注目を集めるようになりました。

Don Vanlerbergheさんの投稿 2020年7月1日水曜日

Don Vanlerbergheさんの投稿 2020年7月1日水曜日

アイベックスが何十メートルもある絶壁を敢えて登る理由はミネラルを補給するためです。彼らの草食性の食事ではどうしても塩分が不足しています。塩分を補給しないと骨が弱くなり、神経系や筋肉も正常に機能しません。そのため塩分をなんとしても調達しないといけないのです。春先になるとアイベックスが山頂から降りててきて、塩分を求めて凍結防止の塩がまかれた道路は土を舐めたりしている姿がよく見られます。

ibex doesn’t give a dam…

Dad Puns and Memesさんの投稿 2020年6月5日金曜日

しかし場合によっては、必要な塩を手に入れるのは簡単にいかないこともあります。チンギーノのようなダムの壁の高い部分にはアイベックスにとって貴重な栄養素であるカルシウムが含まれるエトリンガイトという塩分の一種が混ざっています。それを舐めるために危険を冒して絶壁を登るのです。

Alpine Ibex scale dam in Italy

Nature loveさんの投稿 2019年10月16日水曜日

チンギーノダムの他にも、ロンバルディア州のバルベリーノダムやピエモンテ州のラゴ・デッラ・ロッサダムなどでもアイベックスが絶壁を登る姿が観察されています。

興味深いことに、すべてのアイベックスが絶壁を登る訳ではありません。壁を登っているのはメスと若い個体に限られます。身体の大きなオスが登っているのは観察されていません。これはおそらく彼らの思い体重(最大100キロ)と大きな角がバランスを保つことを困難にしているためだと思われます。

では、アイベックスはどのように垂直の壁を登っているのでしょうか? その秘密は彼らのひづめにありそうです。 彼らのひづめは、互いに独立して動く2本の指で構成されています。 それぞれの指は、アイベックスが曲がって非常に狭い壁の表面をつかめるように、強い外側と柔らかい内側の部分で構成されているのです。この蹄によって、バランスを崩して滑ったとしても、途中で壁の突起をつかみ登り直せるのです。

この魅力的なアイベックスですが、一時は乱獲によって絶滅の危険に追い込まれたことがあります。19世紀、アイベックスは食肉とその角が漢方薬として効果があるとされ、西アルプスでは100頭ほどにまで減少していました。しかしその後の保護活動とグラン・パラディーゾ国立公園の設立により、アイベックスは復活を遂げました。現在では、推定5万頭がアルプス山脈に生息していると考えられています。